入試直前ってどうやって過ごすのが正解ですか?…塾の生徒さんから相次いで質問を受けました。受験生には結構前から言い続けているので、中学2年生と高校2年生からの質問です。「人それぞれバックグラウンドやシチュエーションが違うので、『これが正解』とは、とてもひとことでは言えません」と言ったら、「じゃあ、じっくり教えてください」と返されたので、この際、受験生と一緒に入試を受け続けて18年の塾長が、入試直前期の秘伝の過ごし方を公開しちゃいます!

はじめに
入試直前は、学力はもちろん、心身ともに万全の状態で試験に臨みたいですよね。そのための調整期間と考えましょう。アスリートが大会前にしっかり調整して臨むように、これまでの人生の集大成ともいえる入学試験にも、当然、調整してしかるべきです。この調整に失敗してしまうと、入試当日に寝不足で体調が最悪だったり、感染症にかかってしまったり、自信喪失した状態で本番に臨んでしまうことになります。本番に「最高の状態」で臨めるよう、しっかりと調整していきましょう。そして、その調整のやりかたには、ある程度の正解があります。
以下に、おすすめの「入試直前期(1週間から10日前を想定)の過ごし方のポイント」をまとめました。
もくじ
1 はじめに
2 入試直前の体調管理
3 入試直前のメンタルケア
4 入試直前に学習すること
5 試験準備
6 その他
7 入試直前の心構え
8 最後に
入試直前の体調管理
睡眠
質の高い睡眠を確保し、気力と体力を当日に合わせて温存しましょう。SNSはネガティブなものが多いので避け、自信が出てくるものを見てから床につきましょう。
食事
バランスの取れた食事を心がけ、消化の良いものを食べましょう。普段食べつけないものを摂ると、体調を崩す原因となることがあります。入試前も普段と同じものを食べると良いでしょう(保護者の方へ伝えておいてください)
運動
適度な運動は、心身のリフレッシュに繋がります。いつもやってるストレッチや筋トレを継続すると良いでしょう。筋トレはテストステロンというホルモンの分泌をうながします。これが出ると、やる気ができてきたり、自信が持てたりするので、適度に筋トレを活用していきましょう。
休息
大抵の人は、知らず知らずのうちに緊張してしまう時期です。いつもと同じように過ごしているのに疲れを感じたら、少しだけいつもより長めに睡眠時間や休息をとるのも良いでしょう。もちろん、普段通りで問題ないという人は、普段通りでOKです!
入試直前のメンタルケア
自信
これまでの努力を信じ、自信を持って試験に臨みましょう。「自信を持つ」ためには、これまでやってきた記録を見返してみることがおすすめです。ノートや日記、手帳などをパラパラとめくってみると、「先生にこんな風に声をかけてもらえたなぁ」とか、「1年前はこんな問題もできなかったんだなぁ」等、がんばった自分を感じることができます。こうして周囲に応援してもらえていることを思い出したり、成長した自分を確認してみましょう。
リラックス
深呼吸や瞑想などで、緊張を和らげましょう。呼吸は自律神経のなかで、唯一コントロールできるものです。意識して深く呼吸をすることで、落ち着くよう無意識に働きかけることができます。ふだんから深呼吸や瞑想をしておくと、自分の心身の状態を把握しやすくなります。今からでも遅くないので、深呼吸や瞑想をしてみましょう。また、ヨガは身体の動きを伴う瞑想といわれています。運動部だった人はストレッチでもいいので、軽く体を動かすとリラックスできますよ。
平常心
試験当日も、普段通りの自分でいられるように心がけましょう。本番で120%の力を出そうとする人がいますが、これは大方、うまくいかないのでやめましょう。トップアスリートが、オリンピック本番でワールドレコードを出すことをよく見かけるのは、大観衆の前で、普段通りのプレーができるよう、繰り返しイメージして訓練をしているためです。その瞬間を待ち望んでいた自分のイメージと会場の雰囲気がマッチしたとき、アドレナリンが放出され、しなやかな動きがアドレナリンの効果に後押しされ、最高の力が発揮できるからだそうです。反面、入学試験は長丁場。長い時間でも集中力を維持し、平常心で静かな闘志を燃やしつつ、試験に臨んでいる自分をしっかりとイメージしておきましょう。
想定外のことが起こることを想定する
「寝坊」「腹痛」「花粉症」「◯◯を忘れたらどうする?」等。本番でめったにないことが起こったとしても、そのことすら想定しておけば、それは「想定内」のことです。あわてずに対処できます。
それでも、想定外のことが起こったら?
「さまざまな想定外のことが起こること」まで想定していたあなたなら、きっとどんなことにも対処できるはずです。自分を信じて、落ち着いて対処しましょう。
入試直前に学習すること
「学ぶ」より「習う」時期
知識や公式などをインプットすることが「学ぶこと」で、インプットしたものを繰り返して、すぐに使えるようにしておくことが、「習うこと」です。「知っている」だけでは、思い出すのに時間がかかりすぎたり、応用問題に対応できるまでに到達していなかったりします。数学なら、パッと見て解法がすぐに頭に浮かぶかどうか。英語で毎年同じような英作文が出されているようなら、英作文問題はサービス問題と思えるようになっているかどうか。
復習中心で知識をすぐに使えるように
これを読んでいるみなさんなら、これまでは苦手な分野を重点的に学習してこられたことと思います。これから先、いちばんやってはいけない学習は、本番直前までこれを続けてしまったり、やってなかった分野を見つけて、本番直前に詰め込もうとすることです。入試1週間ほど前からは、「初見の問題」には手を出さないようにしましょう。そして、解いたことのある問題で、「✕」だったところの復習を中心に確認していき、「今でも本当に正解できるか」を猛スピードでチェックしていきましょう。解いたことのある問題なら、短い時間で解けるようになっているものも多いはず。入試直前期の時間はとても大切です。こうやって、短時間で効率よく、しばらく解いていない分野の問題とその周辺知識に目を通します。時間がかかる「わからないこと」は、「入試には出ない」「出たとしても、とるに足らない」と見切り、多くの問題が解けるようになっていることと知識の確認をしていくことです。そうすることで、過去最大の知識量を頭にストックした状態ができると同時に、「できる」「できる」「できる」という成功体験が積み上げられ、「きっと本番も大丈夫」という、良い精神状態で本番に臨むことができます。
過去問
解いたことのあるものでもいいので、過去問を解き、時間配分や出題傾向の最終確認をしましょう。どんな入試も、よほどのことがなければ問題傾向は大きく変わらないので、過去問と同じような問題が出てきます。もし、「この年代から学習指導要領が変わった」ということがあれば、入試に出る可能性は高いので、そこは過去問に加えて、よくチェックしておきましょう。
暗記
過去問で頻出の重要事項や基本用語、公式などは、どれが出てもすぐに使えるようにしておきましょう。おぼえるものはリストにして、おぼえたらリストから外していき、本番当日は、まだおぼえきっていないものだけを書きだしたメモ1枚を持っていくことをおすすめします。入試当日はたくさんのことはできませんが、こうすることで、「当日までにやること」と「当日やること」が明確になります。
新しいことには手を出さない
新しい問題集や参考書には手を出さないようにしましょう。経験上、弊害の方が多いです。
試験準備
持ち物
受験票、筆記用具、コンパス、時計など、必要なものを準備しておきましょう。
筆記用具は使い慣れたものがいいですが、消しゴムだけは、新しい方が細かい部分を消しやすいので、新品を2~3個準備しておきましょう。時計も狂うことがあるので、2個は準備しておくことをおすすめします。
交通手段
試験会場までの交通手段や所要時間は必ず下見をして、確認しておきましょう。最近はナビでも到着時間が予想できますが、朝の時間帯は混雑します。余裕をもって到着できるようにしましょう。
また、友だちと一緒に行く場合は、「待ち合わせに◯分遅れたら出発する」という認識を共有しておきましょう。
会場
試験会場の場所や環境を確認しましょう。雨や雪が降った場合のことも想定しておきましょう。寒い場合や、エアコンに近くて暑い場合もあります。着脱が簡単な防寒着を準備しましょう。
その他
情報収集
試験に関する最新情報を収集しましょう。
相談
不安なことや疑問点があれば、先生や家族に相談しましょう。
休息
試験前日は早めに寝て、十分な休息を取りましょう。
入試直前の心構え
最後まであがく
本番は、「ほんの1問」が合否の差となります。最後の最後まで、諦めずに努力を続けましょう。
落ち着いて行動する
直前に焦っても、あまり良いことはありません。むしろ、普段できていることさえできなくなることがあります。そうなることを避けるためにおすすめの行動をお伝えします。「私は大丈夫」「私ならきっとできる」という言葉や、「私を今まで支えてくれた◯◯さん、本当にありがとう」という感謝の言葉を繰り返し唱えることをおすすめします。多くのトップアスリートは、そうやって本番を迎えています。不思議と落ち着けるものですよ。
最後に
ここまで、一見、矛盾するようなこともお伝えしましたが、いちばん大切なのは、自分をコントロールすることです。緊張して浮足立っているようなら、ルーティンをこなして落ち着きましょう。少し調子に乗っているようなら、足元をすくわれないよう自戒の言葉を思い出しましょう。気持ちが落ち込んでいるようなら、お世話になった人に感謝の言葉を唱えましょう。そうやって、平常心で臨めるようメンタルを整えます。
そして、最後にお伝えしたいのは、「楽しんでいる人には敵わない(孔子)」という言葉です。「これまでの人生で、いちばん成長できるこの瞬間を、誰より楽しもう」くらいの気持ちで臨みましょう。
これらのポイントを参考に、自分に合った過ごし方を見つけ、入試本番で持てる力を発揮してください。あなたのチャレンジを応援しています!
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